鍼灸の技法について調べものをしていた時、たまたま開いた雑誌「医道の日本」2013年2月号に、アメリカ人医師RIchard C.Niemtzow氏が開発した、耳鍼の方法が紹介されていました。
負傷した兵士の痛みに対して行われていた治療法が広まり、災害時の応急処置や、一般の医師による様々な痛みの治療にも取り入れられ始めているそうです。
先日歯の治療を受けて、夜中に傷が痛んだ時、自分の耳に試してみたら、痛みがすっと楽になり、気持ちよく眠る事ができました。
耳鍼には、古くからある中国式の方法や、フランス人医師Paul Nogier氏が1956年に発表した方法などがあるので、もう少し詳しく勉強してみたいと思いました。
蝉時雨を浴びながら、サルスベリの花を見ていると、夏も最高潮という感じがしてきます。
八百屋さんの店先には、トマト、なす、きゅうりなどの夏野菜も盛りだくさんですね。
夏野菜には、体を冷やす働きがあり、加熱時間が短いと体が熱を持ちにくくなります。
また、酸味、苦味は熱を収める働きもあります。
食材や、調理時間、味付けで体の熱を冷ますようにしてみると、冷え過ぎなくて良いような感じがしています。
最近、梅雨らしい天気が続いていますね。
雨が降ると、植物がいきいきとして、湿気に負けそうな気分を潤してくれます。
湿気が多く、じめじめとした不快な感じを、東洋医学では湿邪と呼びます。
湿邪に弱い内臓は膵臓で、湿気の多い時期は胃腸のトラブルが起こりやすいとされています。
この時期に、胃腸の調子が悪い、食欲がないと感じる場合には、温かくて消化しやすい物を食べて、元気を養うと、過ごしやすくなります。
おいしいものを食べたり飲んだりした時、五臓六腑に染み渡るという言い方をすることがありますね。
東洋医学の言葉で、五臓は肝臓、心臓、膵臓、肺、腎臓の五つ、六腑は胆のう、小腸、胃、大腸、膀胱の五つと、三焦という東洋医学独特のものを合わせた六つを言います。
そして五臓と六腑が、体の様々な機能や、精神的な活動も司っていると考えられています。
肝臓は怒り、心臓は喜び、膵臓は思い、肺は憂い・悲しみ、腎臓は恐れ・驚きに関係しているとされて、内臓の調子が精神に影響したり、逆に精神の状態が内臓に影響したりと、どちらも起こる可能性があると考えられています。
漢方薬には、イライラする状態に効果がある、抑肝散というものがあります。
内臓と心が繋がっていて、それに対する働きかけができるという考え方が、東洋医学の1つの特徴です。
緑が鮮やかな季節になりましたね。
今年は桜の開花が少し遅れましたが、寒い時期が少し長かったからなのかなと思ったりしました。
東洋医学では、季節毎の暑さ、寒さ、乾燥、湿気などは、それぞれ暑邪、寒邪、燥邪、湿邪と呼ばれています。
季節通りの気候であれば、体はそれに対処する準備ができているのですが、季節外れに温度が低かったり、雨が多かったりすると、対処できずに体調が崩れやすいです。
夏の暑さも強くなってきているので、冬には夏頃から体調が悪いと言われる方が多く、最近は、長引く寒さで体調不良を起こされた方が多いです。
気候が乱れると、それが体調不良の原因になるので、過ごしにくくなります。
冷暖房の設備が今ほど整っていなかった時代、暑さ寒さに対処するための様々な生活の工夫がされていて、衣服だけでなく、食事、睡眠、労働にも季節毎に変化がありました。
昔ながらの季節の行事や、食べ物などは、気候や人の体と関わっているようで、何となくやってみると、何となく良いような感じがします。
私が子どもの頃、友達の家に遊びに行くと、おばあちゃんがお灸をしてはる場面に遭遇した事があります。
熱くて怖そうやな。と思ったのを憶えていますが、その頃はわりと身近にお灸があったように思います。
ここ最近は、雑誌などでお灸が紹介されているのを目にする機会が増えてきました。
肌を直接焼かないお灸や、湯たんぽのような物でツボを温めて、体調を整える方法が紹介されています。
当院では、治療に来られた方で、自分でお灸をしてみたいと思われる方には、その時の身体に合うツボや、お灸をする回数などをお伝えしています。
治療院の窓の外に少しのスペースを作って、植物を置いています。
ビルの谷間で、直射日光がほんの少し差し込むくらいの場所ですが、ゲッケイジュやイチジクなどの葉っぱは、わりと元気に育っています。
フタバアオイは、患者さんから分けて頂いたもので、冬の間は茎だけになっていましたが、温かくなってきたら少しずつ葉が出て来て、今は小さな花を咲かせています。
多年草で、毎年この緑を楽しめる所が良いなと思っています。
鍼は刺すというイメージがありますが、鍼灸治療で使う鍼には古代から伝わる九種類があって、先の尖っていないものや、刺さないものもあります。
鍼治療は、金属で皮膚を刺激することで、その刺激が神経の伝わる路を通って脳まで届いたり、体の別の箇所に届いたりして、体内で様々な変化が起こることを、治療として利用しています。
東洋医学的に考えると、気の流れを整えるということになります。
気の流れる道は、身体の表面から骨の近くまで、様々な深さがあると考えられているので、鍼を刺さない場合には、体表面を流れる気の流れに対して働きかける事になります。
当院では主に、鍼先を皮膚に触れさせて刺激を加えますので、ただ手で触れているだけのような感じしかしませんが、時々、痛みのある筋や全く別の場所に何となく刺激を感じる方もおられます。
当院は予約優先制で診療をさせて頂いております。
前もって希望のお時間をお知らせ頂くと、できるだけ待って頂かなくても良いように、調節をさせて頂いておりますが、お待ち頂かなければいけない時には、本など見て頂ければと思い、雑誌や絵本、文庫本など少しずつですが置いてあります。
本は木からできているので、部屋に置いてあると、空間を落ち着かせる効果もあるそうです。
モクサアフリカという団体が活動をされています。代表者はイギリス人の鍼灸師の先生です。
現在アフリカでは、結核の感染が広がっていて、多種類の抗菌薬に抵抗を持つ多剤耐性結核菌の感染により、毎年多くの死者が出ているそうです。
昭和初期の日本では、お灸での結核治療が研究されていて、それを参考にしながら、今現在のアフリカで治療の研究が進められているそうです。
薬との併用で、結核菌に対する治療効果が上がるという事が確認できて、多剤耐性結核菌への効果も期待が持てるので、今後も研究を続けていくと報告されています。